1975年、それまで非電化だった発藤~小動までの区間が交流電化されることになりました。この区間は現在直流化されているものの、地磁気観測所が付近にあった関係で、2018年まで交流電化されていたのです。
さて、当たり前ですが交流電化されている区間に直流のみ対応の電車は入れません。ですので、この9000系は交流電化に対応した設計となっています。直流電化にも対応しており、直流区間から交流区間に乗り入れる車両として開発されました。
車体は7000系や8000系の設計をベースにしているものの、軽量化のためアルミ製としています。また、長距離運用に用いられる電車ではありますが、すべての座席をロングシートとしています。これは直流区間内での混雑に対応するためですが、定期客の平均乗車時間が延びるにつれて評判が悪くなっていきました。
交直流両用設計、アルミ車体という組み合わせは車両価格が高くなってしまうことから、必要最小限の本数のみ製造されています。とはいえ、交直流両用電車は使い勝手がよいことや、交流区間の利用客が増加していました。そこで、1980年からは9000系の設計を一部見直したM1000系の製造に移行しています。