永越510系

 永越鉄道の車両は、長距離を走る運用もあることから20m3ドア車体のセミクロスシートを基本としていました。しかし都心側の区間ではラッシュ時の混雑に対応できないことから、一部車両がロングシートに改造されたり、複々線化を行って電車を増発したりなどの対策を施しました。

 そして混雑緩和の集大成として、1980年に地下鉄南北線との相互直通乗り入れを開始することになりました。この地下鉄南北線は永急電鉄との相互直通乗り入れも計画されており、地下鉄線内で運行する電車は原則として20m4ドア車両とすることが決まりました。この方針に対応するため、510系は永越鉄道で初めての4ドアオールロングシート車としてデビューしました。

 510系は1978年に登場しました。基本設計は1973年に登場した354系をベースとしており、制御装置は354系と同じく界磁チョッパ制御を採用しています。ただし、運転台に関しては直通協定の関係で、両手操作形ワンハンドルマスコンを採用しました。

 車体も534系をベースとした設計ですが、4ドア車であることを識別しやすくするために、紺色の帯を地下鉄南北線のラインカラーに合わせた黄色に変更しています。

 性能は地下鉄線内での運用に対応するため、ギア比を高めにして加速性能を向上させています。この関係で従来車よりも高速域での余裕がありませんので、原則として地下鉄直通の普通運用のみで運用することになりました。

 登場当初は普通でしか運用できない不便な車両でしたが、1980年に地下鉄南北線が開業すると、その本領を長年にわたって発揮することになりました。1985年には地下鉄直通区間が藍那から倉郷、大きな車両基地のある松ヶ谷まで延伸され、さらに活躍の範囲が広がっています。

更新工事

 永越鉄道では2008年から地下鉄西都心線との相互直通乗り入れを開始することになりました。この地下鉄西都心線は、永京環状線の西側区間の混雑緩和を目的に建設された地下鉄で、ホームドア設置やワンマン運転を開業当初から行っています。

 しかし、510系は車両性能(高速域が苦手)やワンマン運転に対応できないなどの問題がありました。これらを解決するため、製造から26年経過した2006年から更新工事が行われました。

 更新工事では、510系よりも後に登場したVVVF車と同等の性能にするため、制御装置のVVVFインバータ化とモーターの交換(直流複巻電動機から三相交流電動機)を行っています。また、運転台にはワンマン運転用モニターを取り付けられるようにするための準備工事を施してあります。

 この更新工事は2008年の地下鉄西都心線開業に間に合うよう、一部の編成で行われました。一方、更新工事が行われなかった編成もありました。これらの編成は2008年のダイヤ改正以降、都心部から撤退し松ヶ谷以北のローカル運用に転用されました。なお、ローカル運用においては従来のセミクロスシート車をロングシート仕様のままで置き換えることになったため、多くの乗客に「ご意見」をいただくことになりました……

 ロングシートなのが田舎電車としては少々いただけない510系ですが、山岳区間、特に高前から下仁田を経由して小諸(※関東地方は「今関地方」に置き換わっていますが、長野県はそのまま存在している設定)に至る運用では、低速域のパワーがある510系が「乗務員には」好まれるようです。

 2020年で登場40年となった510系。未更新車は残りわずかとなり、最近は嬬恋線や高前から月夜野を経由して猿ヶ京に行く運用に入ることが多いようです。更新車も更新から10年以上が経過し、デュアルシートを採用した518系(西都心線直通編成)に置き換えられつつあります。

 兄貴分の354系やその先輩の352系が今も活躍を続ける中、510系は本領を発揮できる都心部では性能不足、そしてローカル区間では居住性に劣ることから活躍の場を失い、「先輩」より先に引退することになりそうです。


※当ページの内容はフィクションです。

当ページ最終更新日 2020年06月20日

当ページ公開開始日 2020年06月17日