鳥豊本線(とりとよほんせん)は、鳥豊地方を走る路線で、奉旗県奉旗市の奉旗駅(ほうはたえき)から、魚住県尾崎市の尾崎駅(おざきえき)までを結ぶ、NR今北(今北旅客鉄道)の鉄道路線です。名前の通り、鳥豊地方を北から南へ結んでいる路線で、旅客・貨物輸送を支える大動脈です。
鳥豊地方で最初に鉄道を付設した鳥豊鉄道(とりとよてつどう)が順次路線を延伸していき、その後国に買収され、民営化を経て現在に至ります。また、鳥豊地方だけでなく富原地方への連絡輸送も担ってきました。終点の尾崎駅からは、富原地方の港へ向かう連絡船が多数運航されていましたが、1997年に海底トンネルが開通しました。
管轄 今北旅客鉄道(NR今北)
軌間 1067mm
複線区間 全線(複々線区間あり)
電化区間 全線(直流1500V)
保安装置 全線ATS-P
最高速度 130km/h
昼間の運行本数は、東奉旗駅-船積間で毎時3~4本ほど、東奉旗駅-(中砂支線)中砂駅間で毎時2本ほど、船積駅-中西駅間で毎時1~2本ほど、猪原線船積駅-猪原駅間が毎時1本ほど、中西-知元間で毎時3~4本ほどとなっています。
奉旗駅から次の東奉旗駅までの間は、船積駅方面発着の列車(毎時3~4本ほど)と中砂支線列車(毎時2本ほど)がどちらも走るため、毎時6本ほどの列車が走ります。
電車は4両、6両、8両があり、3ドア車と4ドア車の2種類が用いられます。
N1330系1000番台 2022年3月ダイヤ改正でデビューした車両で、鳥豊北部エリアの区間で運用されています。
奉旗都市圏近郊の区間です。また、猪原線の列車も乗り入れることから、奉旗県東部と奉旗市を結ぶ役割を果たしています。この沿線はもともと漁村が点在していただけの地域でしたが、鳥豊地方初めての鉄道である鳥豊鉄道が、地形の都合でこの地に鉄道を敷設してから栄えました。
NR線の駅というのは、鉄道が敷設された際の歴史的経緯により、駅が街の本来の中心地から多少離れているケースが見受けられますが、この地域の場合は鉄道が出来てから街が大きく発展したことから、駅周辺こそが街の中心地となっていることがほとんどです。
猪原線と分岐する船積駅(ふなづみえき)は、駅から数キロ離れた場所にある「船積漁村」が駅名の由来ですが、市役所は駅の近くにあります。「船積」という港町らしい名前ながら、港っぽさ、そして船の面影は駅周辺にありません。
N1328系。永京首都圏に導入されたN1602系をベースにして設計されました。
船積駅から中西駅までの区間は、山岳区間です。鳥豊本線のルートは、奉旗駅から山岳地帯を避けるために東に遠回りしていますが、この山岳地帯は東海岸のギリギリまで迫っています。さすがに東海岸まで遠回りするのは遠すぎるということで、仕方なく山岳地帯に鉄道を敷設することになりました。
山岳区間の途中には、高畑(たかはた)という街がありますが、それ以外に大きな街はありません。古くからある街道は、結急勝亀本線沿いを通っており、この高畑を回るルートではありませんでした。ただの山がひたすら続く中に、この路線が敷設されたのです。その山は、古くから列車を苦しめてきました。
「高畑の山越え」という言葉が古くから鉄道好きに知られています。高畑駅周辺の山岳区間は、機関車1両では力が足りないことから、機関車を2両連結した重連で牽引されることがあります。電車も、抑速ブレーキを備えた山岳仕様の車両が使われ続け、性能が上がった現在の車両でも運転に特に気を使う区間であることは変わりません。
中西駅(なかにしえき)からは再び平坦な区間になります。中西駅は太平洋と丘陵に挟まれた狭い平地に設けられており、駅からは太平洋を望むことができます。
この区間では普通列車が毎時3~4本ほど運行されています。
1993年から活躍している1326系。
海沿いを走る区間ということで、海産物が有名な地域を通ります。途中の佐竹駅(さたけえき)近くには、塩ラーメンで有名な店があり、「佐竹ラーメン」として広く知られています。
戸須駅(とすえき)は古くから栄えている港町にある駅ですが、街の中心地からは離れています。かつてはこの駅で接続する結急戸須線と貨物列車の直通運転(当時は勝亀鉄道)が行われていました。
戸須駅-清江駅間では普通列車が毎時3~4本ほど、清江駅-知元駅間では鳥豊本線の列車が毎時3~4本ほど、富永本線の列車が3~4本ほど運行されています。戸須駅方面からの列車のうち2~3本は知元行き(6両または8両)、1~2本は魚住線魚住駅まで直通する12両編成の列車です。
2004年から2006年にかけて導入された鳥豊本線N1600系(2階建て連結12連)。戸須駅-尾崎駅間で活躍しています。
戸須駅を出た列車は、引き続き海岸沿いを南へ向かって走っていきます。ここから神場駅(かみばえき)までの間には、「知元(ちもと)」という大きな街があるほか、街道沿いにある中規模な街もあります。
知元駅(ちもとえき)までの主要駅は、児島駅(こじまえき)、結急岩根線と接続する岩根駅(いわねえき)、そして富永本線(とみながほんせん)と合流する清江駅(きよええき)です。岩根駅あたりからは知元市内だけでなく、神場府内に通勤する人も増えていきます。鳥豊地方の中でも人口が密集している地域でもあります。
清江駅あたりから知元市内に入ります。知元市を代表する駅は、知元駅だけでなくその北にある北知元駅(きたちもとえき)もあります。北知元駅は、知元市の中心部を走る結急知元線と接続している駅です。
岩根駅方面から知元市街に通勤する人の多くは、この北知元駅で結急知元線に乗り換えます。
一方で知元駅は、永神高速線(えいしんこうそくせん)や知元県東部へ向かう東海岸線、さらに結急勝亀本線(岩根線)、知元市営地下鉄に乗り換えられるターミナル駅であり、こちらも利用客がかなり多い駅となっています。
知元駅と知元市中心部の間は、市営地下鉄東西線で結ばれており、2010年代からは行政施設や商業施設などが知元駅の方に移転することが増えています。
昼間は12両編成の普通列車(2階建て車2両連結)が毎時6本運行されています。
普通列車は知元から南州稲毛までの各駅と、坂月、鎌数、本間、岩瀬、持木、神場に停車します。
途中の坂月駅から尼心駅までの間は緩行線が併設されており、南州稲毛駅-坂月駅-尼心駅-在春駅間の各駅停車が毎時5本から6本、鎌数駅-神場駅-神場汐留駅間の区間列車が毎時5本から6本運行されます。緩行線列車は8両編成です。
N1600系と共に鳥豊快速線で活躍するN1316系。1994年から1999年の間に1312系を置き換えました。
知元駅から南の区間は、神場都市圏内の区間となります。線路も旅客線に加えて貨物線が併設されており、途中の仁戸名駅(にとなえき)の手前で山を越えたら、いよいよ神場府内の区間に入っていきます。その仁戸名駅では、NR西神線(せいしんせん)が分岐しており、短い電車が神場府近郊を結んでいます。
坂月駅(さかづきえき)からは、特急や快速列車が貨物線を走るようになり、各駅停車と一部の快速のみが走る「緩行線(かんこうせん)」と分離されています。坂月駅の手前で方向別複々線だったものが線路別複々線に変化し、貨物線(急行線)と緩行線は対面で乗り換え可能となっています。
鳥豊緩行線N1604系2000番台(2019年デビュー)。
本間駅付近で結急知元線と貨物線を旅客化したかみば北線に接続すると、その先の岩瀬駅(いわせえき)では久利線(くりせん)が合流してきます。久利線はほぼすべての電車が当路線に乗り入れており、三沢駅(みさわえき)から西豊本線(さいほうほんせん)に乗り入れる電車が多いようです。
神場駅(かみばえき)は、神場都市圏を代表する駅であり、永京駅のような赤レンガ造りの駅舎があります。永神高速線・富原高速線のほか、田井中線(たいなかせん)、東海岸線(ひがしかいがんせん)、結急電鉄線と地下鉄が乗り入れる駅です。
海の向こうからやってくるNR富原の車両。以前は3ドア車が充当されていましたが、当路線内でのホームドア設置を想定し、4ドア車での運行に置き換えられています。
昼間は12両編成の普通列車(2階建て車2両連結)が毎時6本運行されています。途中の伊津野駅からは、毎時3本が富原地方の西倉駅(風杜都市圏)まで、もう3本が魚住線に直通し、那古駅まで走ります。
なお、最南端の横渚駅-尾崎駅間では、魚住線からの電車(毎時3本ほど)が乗り入れます。
神場駅から新宿駅(しんじゅくえき)までの間は、結急神場環状線の内側を走る「都心区間」であり、終日利用客が非常に多くなっています。新宿駅では、宗吾電気鉄道に接続しつつ、ここからは鳥豊地方最南端の尾崎駅(おざきえき)を目指して走っていきます。
三沢駅(みさわえき)では線路別複々線が終わり、外側の線路はそのまま西豊本線上原・松岸方面に繋がって別れていきます。ここからは複線区間に入ります。
露崎駅(つゆざきえき)では、貨物線として建設され現在は旅客運転も行われている坂崎線(さかざきせん)と合流。ここから魚住県に入って尼心駅(あましんえき)では結急魚住本線に接続します。
伊津野駅(いづのえき)では、魚住方面に向かう魚住線が分岐します。魚住線はかつては魚住方面へのメインルートの一つでしたが、現在は魚住高速線が開業していることや、結急電鉄の方が短いルートで早く結んでいることから、地域輸送がメインのローカル線となっています。
横渚駅(よこすかえき)は、近くに海水浴場のある駅であるほか、魚住市の方からやってくる尾崎線(おざきせん)と合流します。駅周辺はのどかな港町といった雰囲気なのですが、横渚駅は富原地方へ向かう鳥富連絡線(ちょうふれんらくせん)が分岐する駅ということもあり、多くの貨物列車や旅客列車が分岐していく賑やかな駅でもあります。
終点の尾崎駅(おざきえき)は、かつては富原地方へ向かう船が多く発着しており、鉄道車両を載せて運航される船もありました。しかし、在来線、高速線ともに海底トンネルで富原地方までが結ばれたことにより、現在は人と車を運ぶフェリーが運航されるのみとなっています。本数も最盛期に比べてかなり減ってしまったようです。
永神高速線が全通した1985年以前は、多くの長距離列車が運行されていました。先島方面・奉旗駅から尾崎駅までを走り通す特急や普通列車などがひっきりなしに運行されており、永京と神場都市圏、富原地方間などの旺盛な需要に答えていました。
この車両は、1958年に登場した特急列車です。奉旗駅から尾崎駅の間を結び、永京方面と富原方面を結ぶ連絡列車として機能していました。1965年からは奉旗駅より北の先島本線に乗り入れ、舛淡駅に乗り入れる列車も新設されました。
速達タイプの停車駅は舛淡(仙豊県方面フェリーと接続)を出ると、奉旗、戸須、知元、神場、伊津野(魚住方面列車に接続)、尾崎となっていました。また、これより停車駅の多い特急・急行も多数運行されていました。
1982年3月、2ドア転換クロスシート車の1316系が登場しました。この車両は知元駅-魚住駅・尾崎駅間の普通列車や快速列車に充当され、ライバルの神豊急行電鉄(当時)を意識した速達ダイヤも設定されて人気となりました。一方、ラッシュ時に(ドア数と立席定員の都合により)混雑してしまうという問題もありました。
一方で知元駅より北側の区間では、1982年以降も1314系の導入が続けられました。当時はまだ旧型の車両もわずかに残っていましたが、1984年までにラッシュ時用の車両も含め、北側区間の普通列車がこの車両に統一されています。
1993年、一部二階建て車両の1324系が登場しました。この車両は6両編成を2本連結した12両編成で、6両編成中両端の2両と中間の1両が二階建て、残りの3両(モーター付き車両)が平屋3ドア車という構成になっていました。座席は二階建て車両がボックス席、3ドア車がセミクロスシートとなっており、乗り降りのしやすさにも配慮しました。
6両編成10本が導入されたものの、二階建て車の乗り降りに時間がかかるということで、1996年までに当路線での運用が縮小されてしまいました。