老朽化した7000系などを置き換え、バリアフリーへの対応など、旅客サービスを向上させる目的で登場した通勤型車両である。
車体は9000系以降の車両と同様、引き続きアルミ製車体が採用されている。ただし、シングルスキン構造だったものを「ダブルスキン構造」に変更している。変更理由は、メーカー(茨原製作所)標準の車体がダブルスキン構造だったことや、より車内の気密性を保つためである。
標準設計を多く取り入れていることもこの車両の特徴であり、ダブルスキン構造に変更された車体だけでなく、内装などの部品、車両情報管理システムや走行機器もその多くが標準設計のものだ。2000年代初頭は各鉄道で標準設計電車の導入が相次いだ時期であるが、各社ともに「車両コストを下げる」というねらいがあったようだ。
初期の標準設計車両は「安さ」を重視しすぎたあまり、細部の作りが悪いこともあった。常丸5000系においては、一部ステンレス車で見られた外板(特に戸袋部分)のゆがみはないものの、座席の座り心地が悪かったり、ドア脇の手すりが握りにくい構造だったりという問題点があった。
いくつかの問題点を抱えながらも2008年まで増備が続けられた5000系だったが、2013年に久々の増備車両として登場したグループは、それまでに導入されたグループとは異なる点がいくつかある。
5000系2013年以降導入車の変更点
・座席の座り心地を改善(クッション性を高めた)
・ドア脇の手すりを握りやすい形状に変更
・車いすスペース(当時の名称)の増設
・ドア上のLED案内表示機をLCD(17インチ)一画面に変更し、千鳥配置から全側面ドア上に設置
一部の走行機器や車両情報管理システムなどは変更されているが、元々の設計思想がおおむね優れていた(ただし座席とドア脇の手すり以外)ことから、これらの変更により使いやすく、より質が高い通勤電車へと変化した。
M6000系の登場時の姿
2005年に登場したM6000系は、5000系の交直流バージョンである。基本的な設計はそのままに、交流電気に対応した機器や変換するための機器を追加している。
直流専用電車と交直流電車の部品共用は、8000系と9000系で行われていた。5000系とM6000系ではさらに部品共用率を高めており、効率的にメンテナンスができるようにした。
M6000系は2005年~2007年、2012年と2013年に導入されている。