N1602系4000番台の転属

そもそもN1602系とは

 N1602系は、2006年に信濃快速線(永京首都圏の永京駅-大月駅間)に導入された車両です。その後、仕様変更を経て他の路線にも導入されました。

 今回紹介する「4000番台」は、2008年3月に永京首都圏の両武快速線・三浦線に導入された車両です。

増発のため導入される

 当時の両武快速線・三浦線では、すでに活躍していたN1326系の走行機器更新工事を進めていました。更新工事中は運用に入れませんので、予備車両が少ない状態での運行が行われていました。これに加えて、2008年3月に津喜県の富街空港駅まで直通する電車を増発することとなり、車両が足りないことが予想されました。そこで、2007年度にN1602系4000番台を11連3本、4連3本導入し、更新工事中の予備車確保及び増発に対応させました。

 既存の1326系との連結は不可能ですが、ドア上に17インチ液晶モニタを備えており、大画面で日本語・英語での案内が可能です。このため多言語案内が求められる富街空港行きの列車に充当されることが多かったようです。

新型車両導入による転属

 両武快速線・三浦線には、2020年12月より新型車両の「N1604系1000番台」が導入されています。老朽化が進むN1326系の置き換えを目的に増備が進められましたが、まだ使えるN1602系も置き換えることになりました。

 N1602系4000番台は、2023年時点で登場から15年が経過していますが、適切なメンテナンス及び走行機器の更新などを行えば、あと20年ほどは走らせられます。一方で数の多い(多かった)N1326系やN1604系1000番台との連結ができないことから、11連と4連を連結して走る運用の多い当路線では少々やっかいな存在になっていました。

 そこで、この車両を他の路線に転属させることとなりました。

 転属先に選ばれたのは、永京首都圏の常盤本線(上谷駅-来戸駅方面間)でした。この路線の稲出駅以北は2018年3月まで交流電化されていましたが、交流電化の要因となっていた地磁気観測所の移転により、2018年3月、茨原県の勝田駅まで都心側と同じ直流電化となりました。

 加えて、以前は上谷駅始発でしたが、永京駅-上谷駅間の線路増設により、永京駅及び高品駅までの直通列車が新設されました。利便性が大きく向上したものの、追加料金が必要な二階建て車「クローバー車」を連結している編成が交直流両用車のみとなっており、これを増発することが計画されました。

 そこで白羽の矢が立ったのが、N1602系4000番台でした。直流専用車ですが、以前は走行できなかった稲出駅-勝田駅間を現在は走行できるようになったこと、更に二階建て車「クローバー車」が連結されていることから、常盤本線の転用に適した構造となっていたのです。

 2023年7月10日の運用離脱後、早速車両工場で転用工事が行われました。転用にあたっては、それまで4連と11連に分かれていた編成を、「10連と5連」に組み替えたほか、車体帯を紺色とクリーム色のデザインから、青帯に白いラインが入ったデザインに変更しています。

 試運転を経て、3編成ともに2023年8月19日から常盤本線(快速)での運行が開始されています。

玉突き転属

 当車両の転用により二階建て車連結の編成が3編成増えた常盤本線ですが、全体的な運用数はそのままとされており、10連+5連3本が余剰となりました。余剰となったのは直流専用車で、各駅停車・快速の両方で運用されていたN1600系10連+5連3本です。登場からすでに20年以上が経過しているものの、走行機器の更新工事を施工済みであり、廃車にするにはもったいない車両です。

 そこで、この車両を「ある事情」を抱えた他の路線に転用することになりました。

 NR内郷線。津喜県の津喜駅から館山駅を経由し、仁江駅へ向かう路線です。この路線の新いわね駅-館山駅間では、湾岸急行電鉄及び結急ベイコネクト線との相互直通乗り入れを実施しています。この乗り入れにおいては各社ともに10両編成の車両が用いられ、NRでは1528系の4連と6連を連結した10両編成を充当していました。

 しかし、1528系の10両編成にはある問題がありました。1528系は他の形式よりも先頭車両が1m長いのです。このため、編成の中間に先頭車が2両入る10両編成組成では、編成長さが合計4mほど長くなることや、ドアの位置が他の車両と異なってしまう箇所が生じるという問題点がありました。湾岸急行電鉄及び結急電鉄線内では、4m長い1528系の10連が入れない留置線が存在しており、強風などでダイヤが乱れやすい湾岸急行電鉄からは「1528系10連の貫通編成(中間に先頭車が入らない編成)化(編成長さの違いを2mに収められるため)及び、他の車両に変更して欲しいとの要望がありました。

 この要望に応えるため、NR今北では常盤本線で余剰となったN1600系10連3本、5連2本(2編成を連結した10連で運用予定)を内郷線に転属させ、湾岸急行電鉄、結急ベイコネクト線に乗り入れる列車に充当させることとなりました。転用工事は2023年8月から9月にかけて行われ、9月から内郷線での運行が開始される予定です。

余った車両はどうなるの??

 ここまでご覧いただいた方々の中には「余ったN1600系5連1本及び、内郷線で余剰となった1528系をどうするの??」と思った方もいるかもしれません。N1600系5連はまだまだ使える車両ですし、1528系も一部が廃車または譲渡されている一方でまだまだ現役バリバリの車両。しかも1528系にはトイレがあり、長距離の運用にも適している車両です。

 先のことは分りませんが、新天地で活躍してくれることを期待してこの記事を締めくくりたいと思います。


※当ページの内容はフィクションです※

当ページ最終更新日 2023年08月20日

当ページ公開開始日 2023年08月20日